【推拿(すいな)】『按法』と心の密度
【推拿(すいな)】『按法』と心の密度
①指圧は日本発祥ではなく推拿の"按"が源
②なんとも深い「指圧のこころ、母ごころ」
③「きめ細やかな施術」とは「多面思考」から
④だからこそ根拠のある知識と知恵も必要
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①指圧は日本発祥ではなく推拿の"按"が源
推拿(すいな)の手法に「按法」があります。
拇指按法
掌按揉法
肘按法
身体の様々な部分を使って
『按』(=押す、推す、圧をかける)する手技です。
使うのは
掌の広い面(掌面)
手根部、拇指球、小指球、拳の関節部
前腕部、肘、 拇指の指腹、拇指の指尖
その他の指の指腹、指尖、等。
日本で最もポピュラーなのは
拇指の指腹で押す「拇指圧」
一番有名な「指圧」です。
私は
数名の指圧師の有国家資格者の指導をさせて戴きましたが
出身学校によって
やり方や認識の差はあるようですが
現状、多くの指圧師に伝わっている技術は
推拿の「按」とは似て非なるものと言っていいと思います。
リラクゼーションマッサージで使われている
「体重押し」の拇指圧は簡単に圧はかけられますが
身体、特に親指を傷める方が多いようですし
施術部位に繊細なコントロールが利かないために
結果的に持続力がなく浸透力が生まれないので
症状改善にまで至らないのではないかと思います。
全くの私見ですが
この「体重押し」の拇指圧は
「指圧」の創始者である浪越徳次郎氏が
治療家として自ら施していた技術を
日本指圧学校を設立して
後進に伝えていた技術とは
時を経て人を経て
かなり隔たって伝わり残ったものではないか?
と思っています。
浪越先生の施術を
間近で拝見したことはもちろんないのですが
私でもみられる動画や画像では
少なくとも肘関節を伸ばして
体全体の体重を乗せて押し込もうなどとは
一切していらっしゃらなかったと記憶しています。
つまり
わかりやすいのは
このおそらく素人のモデルさんが
見様見真似でやらされている
この押し方です⇩
こんなにもひどくなくても
このくらいに
「肘を伸ばして、体重をかけて」
と教えている現場を私は知っています。
短時間で圧がかけられるように教えるのには
教える側にとっては最も楽なのですが
安易で無責任だと思います。
浪越先生はいわゆる天才で
指圧の真髄を天からの才能で培われたとお察しします。
だから
「指圧」は日本発祥の技術と仰っていますが
そういう意味ではたしかにそうなのかも知れませんが
浪越先生が「天」から得た才であるとするなら
「指圧」技術の発祥は世界最古の歴史を持ち
日本には奈良時代に遣唐使を介して伝わった
全ての手技療法の源流である按摩であり推拿です。
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②なんとも深い「指圧のこころ、母ごころ」
推拿(すいな)の重要な基本手技『按法』
こちらの記事でお伝えしたいのは
やはり「心」の問題なのです。
実はこの『按法』
ツボ(経穴)押しに使われるのですが
この『按』と「心の密度」が密接に関わってます。
「心の密度」=「思考の密度」と言って良いのですが
「思考の密度」が「気」となって「手指」に伝わり
複雑できめの細かい思考だと
その「密度」がより細かく伝わるのです。
これは
私がこの数年の思考の変化から
実体験として感じていることなので確かです。
浪越先生の
「指圧のこころ、母ごころ、押せば命の泉湧く」
わーはっはっはっはーっ!
これは実に深い教えだったのだ
と思えます。
だから
小手先の技術的なことだけではなく
「きめ細やかな思考」=「繊細な心」
抽象的ですが
「母ごころ」のような
結局は『愛』ということになるのですが
相手を良くしようとする「想念」=「氣」
が必須なのです。
当たり前のようですが
忘れてはならない
一番大切な技術のうちの一つです。
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③「きめ細やかな施術」とは「多面思考」から
「密度」が
低いか高いかは
明らかな『二極思考』なのか
そうでなく『多面思考』か
の違いです。
単純なのは
わかりやすくて良いし
自分の意思決定や立場の表明なども
容易く行えるという利点は大いにあります。
どういうことかと言うと
物事を「上か下か」「右か左か」
「黒か白か」 「高いか低いか」
「高いか安いか」 「善いか悪いか」
「好きか嫌いか」 「損か得か」
こういう単純な「二極」で見る思考です。
「上下関係」のように
相手との間にこの「二極思考」をあてはめ
どちらかはっきりさせないと気が済まない
はっきりさせると安心
みたいな考え方は単純です。
例えば
相手が年齢的に「下」でも
「経験」とか「技術」とか
「能力」とか「教養」とかで
必ずしも全てにおいて自分のほうが「上」
とは言えないかも知れない
と考えるのがやや複雑な思考です。
「損」か「得」か
そんなに単純に決められるものではない
と考えられるのもそうですね。
「高い、低い」
「高い、安い」 などの感覚も
「価値観」によって異なります。
「好き、嫌い」も「善か悪か」も
立場や物の見方によっても実は変わりますよね。
そういう次元から物事を見ていると
思考は複雑にきめ細かくなり
発言や判断も単純ではなくなるでしょう。
それが『手』にも表れるのです。
単純であることも悪いわけではなく良いと思います
ただ
『推拿(すいな)』はきめの細かい方がより良い
のではないかと思います。
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④だからこそ根拠のある知識と知恵も必要
抽象的で
面白味に欠けることを書き連ねましたが
最後にとても大切なことを
こっそり書き遺します。
数ある推拿の技法の中で
「按法」にこの「心」が大切か?
ということです。
「按法」
特に「拇指按法」はツボ押しに使うと
冒頭に書きました。
ツボ=経穴は
300以上の決まった場所にあるだけではなくて
患者さんの症状によって
その患者さんに施すべき箇所
ポイントがあります。
そのポイントに
「ツボ押し」=「拇指按法」を施すのですが
この手技には表面的には動きがありません。
表面的に動かないのに
そのポイントを数十秒も
時には数分も推し続けます。
「拇指按法」は推すべき根拠がないと
押し続けられません。
マニュアル的に
このツボを押すことになっているから押す
という単純な「思考」では
その手法をやり続けることができません。
何故か?
無意味だと感じてしまうからです。
では
何を根拠にすればいいのでしょう?
それは
「経穴」や「経絡」の知識
患者さんの施すべきポイントの解剖的な知識
施すべきポイントをどのくらいの圧で按するかの知識・経験
施すべきポイントがどのように変化しているかの知識・経験
こんな感じです。
また
ここでは簡単に説明しますが
推拿の按法は指圧と違って
表面的には推しているだけのように見えて
ツボ、ポイントの変化に応じて
微妙に動いています。
例えば
患者さんの施すべきポイントに
筋線維の癒着がある場合は
癒着に浸透し分離させます。
どのように浸透し分離させるか?にも
知識と経験と知恵とかセンスが必要だと思います。
だから
単純に押すか、押さないかだけではなく
拇指按を加えた後に
様々な思考を巡らせて
「按」に変化をも加えているのです。
おそらく
浪越先生の指圧も
中国伝来の按摩も推拿も
表面的な技術
動きのある技術だけを伝えるのではなく
その動きの中の動きとか
静止の中の動きとか
そんな複雑にすぐには伝えられないような深さを
伝えたり、伝えられたりするのには
相当な根気とか期間とかを要するのだと思います。
だから
今お伝えしたいのは
手先が器用で頭が良い人も
手先が不器用で頭が悪いと思っている人も
伝統的に伝わっている技術を
簡単だとか難しいとかで
即手放したり諦めたりしないで
手技療法、徒手療法の天を極めていきましょう。
まず私はそうしていくつもりです。
東京都中野区 推拿整体院 すいな健康院 天と地と人
日本伝統手技継承研究所 信長正義
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