🌸第10回|血と津液 ― 生命を潤す二つの流れ

query_builder 2025/11/04
推拿(徒手•手技療法)に必要な中医学を学ぶ

🌸第10回|血と津液 ― 生命を潤す二つの流れ



【概要】


中医学では「血(けつ)」と「津液(しんえき)」は、どちらも人体を潤し、生命活動を支える基本物質として重要視されます。

血は栄養と滋潤を司り、津液は体内の水分代謝を保ちます。

両者は「気」と密接に関係し、気が巡ることで血が流れ、津液が適切に配分されます。



【要点】


•血は「栄養・滋潤・生命力」を担う赤い液体で、気とともに生命を支える。

•津液は「体内の水分」であり、潤いと冷却、代謝のバランスを保つ。

•気が血を推動し、血が気を養う ― 「気血相互依存」の関係にある。

•津液は血に含まれる水分の一部であり、「気・血・津液」は一体として循環している。

•推拿では、血行と水分代謝を調えることで、体内バランスを整える。



【本文】


❤️ 血の基本概念


血とは、人体を構成する赤い液状物質であり、生命を維持するための重要な物質です。

血は、栄養を全身に運び、皮膚・筋肉・臓腑を滋養し、精神の安定にも関わります。

中医学では「血は気に従う」とされ、気の推動によって血が流れ、心によって全身に巡ります。


また、血は「営気(えいき)」と密接に関係し、営気が血脈を循環して全身を養うと考えられています。

血の不足や滞りは、顔色の悪化・冷え・月経不順・不眠・情緒不安定などの原因となります。



🌾 血の生成


血は「脾胃の運化」と「腎精の滋養」によって作られます。

摂取した飲食物が脾胃で消化され、その精微(栄養分)が気化作用により血へと変化します。

このとき、気の働きが正常であれば血の生成は順調ですが、気虚や脾虚があると血の量が減り、血虚(けっきょ)の症状を起こします。


また、肝は血を貯蔵し、必要に応じて放出します。

そのため、肝の失調(ストレス・怒りなど)は血の巡りを悪くし、「肝血不足」や「血瘀(けつお)」を引き起こすことがあります。



💧 津液(しんえき)の基本概念


津液とは、人体を潤す正常な体内水分の総称です。

津は比較的さらさらした水分で、皮膚や筋肉を潤し、汗・涙・唾液などを含みます。

液はやや粘度が高く、関節や臓腑を潤し、脳髄や骨髄を養います。


津液の生成には脾胃の運化が不可欠であり、飲食物が胃で分解され、脾で精微が抽出されて津液となります。

その後、肺の宣発・粛降作用や腎の気化作用によって全身に配分・排出されます。



⚖️ 津液の循環と排泄


津液は「肺・脾・腎」の三臓の働きによって生成・循環・排泄されます。

:津液を上へ広げ、皮膚や体表を潤す(宣発作用)。

:飲食物を変化させて津液を作り、全身に運ぶ(運化作用)。

:水分を貯蔵・再吸収し、余分な水を尿として排泄する(気化作用)。


これらの臓腑のバランスが崩れると、浮腫・口渇・関節痛・乾燥・多汗・無汗などが起こります。



🌿 血と津液の関係


血と津液はともに体を潤し、滋養する作用を担いますが、性質が異なります。

血は「栄養」を、津液は「潤いと代謝」を主とし、相互に補い合う関係にあります。


気・血・津液の三者は常に一体で循環しており、

•気が血と津液を動かし、

•血が気と津液を養い、

•津液が気血を潤す、


という相互依存のバランスが保たれることで健康が維持されます。



👐 推拿と血・津液の調整


推拿では、血と津液の滞りを取り除き、体内の流れを整えることを重視します。

血行が滞れば「瘀血(おけつ)」が生じ、津液の流れが悪くなると「水滞(すいたい)」が起こります。

これを改善するために、肝・脾・腎の経絡を中心に調整を行い、気・血・津液の流通を促します。



【まとめ】


血は生命を支える「赤い川」、津液は体を潤す「透明な流れ」。

両者が調和してこそ、身体は温かく、潤いと活力を保つことができます。


推拿療法では、この「血と津液の調和」を取り戻すことが、根本的な健康回復への第一歩となります。



【出典・参考】


出典:『全訳 中医基礎理論』(たにぐち書店)

監修:すいな健康院 推拿療法 天と地と人

本記事は教育・啓発を目的とした一般向け解説です。個別の症状や治療には専門家の判断をお勧めします。

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