【番外編】🧠 中医学で考える頭痛の基本原理

query_builder 2025/11/01
推拿(徒手•手技療法)に必要な中医学を学ぶ

🧠 中医学で考える頭痛の基本原理


頭痛には様々なタイプがあり、症状も多様に見えます。

中医学理論を元に、様々な頭痛の原因を紐解いていきます。

また、それらの知識を元に、

天気や気圧の変化による不調、いわゆる気候病と言われる頭痛には、

どのように対処していけば良いのかを調べていきましょう。



まず大原則として:


頭は清陽の府であり、清陽が昇り濁陰が降ることで平衡が保たれる


このバランスが崩れると、

•清陽が昇らない(=虚)

•濁陰や邪気が上に上がる(=実)

•気血が滞る(=瘀)

などにより頭痛が生じます。



🌬️ 頭痛の主なタイプと原因


以下に代表的な6タイプを挙げます。



肝陽上亢(かんようじょうこう)による頭痛


原因:ストレス・怒り・緊張・イライラなどで肝気が上にのぼりすぎる

特徴

•頭の側面やこめかみがズキズキ

•顔が赤く、目が充血

•めまい・耳鳴り・怒りっぽい

機序


「肝気鬱結 → 火化して肝陽上亢 → 清陽の上昇が乱れ、頭痛」


推拿・経絡的には

太陽・少陽経(特に胆経)に沿って痛みが出やすく、百会〜太陽・風池を中心に施術。



気虚頭痛(ききょずつう)


原因:疲労・過労・思いすぎ・飲食不摂生などで脾気が不足

特徴

•ぼんやり重だるい頭痛

•動くと悪化、休むと軽くなる

•倦怠感・息切れ・声が弱い

機序


「脾気虚弱 → 清陽の気が頭に昇らない → 頭の養い不足」


推拿・経絡的には

督脈・太陽経を中心に補法。百会・気海・足三里などを補って気を上げる。



血虚頭痛(けっきょずつう)


原因:出血・月経過多・慢性疾患などで血が足りない

特徴

•鈍く長引く頭痛

•めまい・目のかすみ・顔色が蒼白

•寝不足や生理で悪化

機序


「血が不足 → 頭への滋養が足りない → 虚性の頭痛」


推拿・経絡的には

百会・太衝・血海などを使い、肝血・脾血を補う。



痰濁頭痛(たんだくずつう)


原因:湿気の多い環境・肥満・消化機能低下などで痰が生じる

特徴

•頭が重く締めつけられるよう

•胸がつかえる・吐き気

•雨の日に悪化

機序


「脾失健運 → 痰濁内生 → 痰濁が上擾して清陽の昇降阻害」


推拿・経絡的には

中脘・風池・豊隆などを通して痰を取り除き、脾の運化を高める。



瘀血頭痛(おけつずつう)


原因:外傷・慢性病・ストレスなどで血行が滞る

特徴

•刺すような痛み・一定の部位に固定

•夜間に悪化

•顔がくすむ

機序


「気滞血瘀 → 絡脈閉塞 → 通じざれば則ち痛む」


推拿・経絡的には

頭部の瘀血を流すように軽擦法・揉法。太陽・合谷・血海などを用いる。



外感頭痛(がいかんずつう)


原因:風・寒・湿・熱など外邪の侵入

特徴

•風寒:後頭部の強張り、寒気

•風熱:頭痛と発熱、喉の痛み

•風湿:重だるく、天気に左右される

機序


「風邪が頭を襲い、経絡の気血を阻む」


推拿・経絡的には

風池・風府・大椎を中心に邪を散らす。



🌀 まとめ(比較表)


タイプ

性質

主な原因

痛みの特徴

よく使う経穴

肝陽上亢

ストレス・怒り

ズキズキ・側頭部

太陽・風池・太衝

気虚

疲労・思いすぎ

重い・ぼんやり

百会・気海・足三里

血虚

出血・月経過多

鈍い・長引く

百会・血海・太衝

痰濁

湿気・飲食不摂

重だるい・吐き気

中脘・豊隆・風池

瘀血

外傷・慢性化

刺すよう・一定部位

太陽・合谷・血海

外感

風寒・風熱・風湿

天候で変化

風池・風府・大椎




💡ちなみに


「気が上に上がったままの頭痛」=肝陽上亢・気逆頭痛

「気が足りなくて起こる頭痛」=気虚頭痛

です。





🌦️ 気候と体調の関係 = 「外邪」と「正気(せいき)」のせめぎ合い


中医学では、

気候の変化(湿・寒・風・熱など)「六淫(りくいん)」=外邪と呼びます。

健康な人では「正気(せいき)」=体の防衛力がしっかりしているため、天気が多少変わっても影響されません。


しかし、


正気が弱い(=気虚)と、外邪が簡単に体内に入り込みやすくなる


ので、気候の影響を「受けやすい体」になります。



🌀 気候変化に弱い人に多い3パターン


脾気虚+湿困(しつこん)型


典型的な「気象病」タイプ。

湿気・低気圧・梅雨・雨の日にだるく頭痛。

•湿が重く、清陽の気が頭に上がらない

•脾の運化が弱く、体内に湿がたまりやすい


🩺症状:頭が重い・めまい・むくみ・倦怠・下痢気味

☯治法:「健脾化湿」「昇清」

🍵食養:ハトムギ・生姜・陳皮・小豆など(湿をさばく)



気虚+気滞型


天気が悪いと気分が沈み、頭痛や肩こり。

•元気(気)の推動力が弱く、巡りが滞る

•外からの湿・寒でさらに気が動かなくなる


🩺症状:重だるさ・息苦しさ・胸のつかえ・憂鬱感

☯治法:「補気+理気」

🍵食養:陳皮・香附子・ネギ・しそなど(気の巡りを促す)



肝陽上亢・風邪侵襲型


春や季節の変わり目に出る頭痛・めまいタイプ。

•肝の陽気が上にのぼりやすい季節+風邪が侵入

•気候変化の影響を直接頭部で受ける


🩺症状:こめかみ痛・顔が赤い・イライラ・肩こり

☯治法:「平肝潜陽」「疏風」

🍵食養:菊花・決明子・セロリ・ミントなど(肝火を鎮める)



🌿 まとめると


天候に左右されるタイプ

体質・背景

原因の中心

対応の方向性

湿気・低気圧で悪化

脾気虚・湿困

清陽が昇らない

健脾化湿・昇清

天気や気圧で気分・体調変動

気虚+気滞

巡りの低下

補気+理気

季節の変わり目・春先

肝陽上亢・風邪侵襲

陽気の昇発・風邪

平肝潜陽・疏風


💡つまり


「気虚」は“根(体質)”であり、

「外邪(気候)」は“誘因(きっかけ)”です。


気虚がベースにあることで、天候という外的要因に反応しやすくなる。

これがいわゆる「気象病」「天気痛」の中医学的な全体像です。




1.出典

本記事は『中医基礎理論』(たにぐち書店)および古典理論に基づき、推拿臨床の視点からわかりやすくまとめたものです。


2.医学的免責

 ※本記事の内容は中医学の理論的解釈に基づく一般的な情報であり、医師の診断や治療に代わるものではありません。体調不良が続く場合は医療機関にご相談ください。


3.施術や体質改善への応用例

推拿ではこのような理論をもとに、頭痛や天候不調に対して経絡の通りを整え、体のバランスを回復させていきます。

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