【番外編】🧠 中医学で考える頭痛の基本原理
🧠 中医学で考える頭痛の基本原理
頭痛には様々なタイプがあり、症状も多様に見えます。
中医学理論を元に、様々な頭痛の原因を紐解いていきます。
また、それらの知識を元に、
天気や気圧の変化による不調、いわゆる気候病と言われる頭痛には、
どのように対処していけば良いのかを調べていきましょう。
まず大原則として:
「頭は清陽の府であり、清陽が昇り濁陰が降ることで平衡が保たれる」
このバランスが崩れると、
•清陽が昇らない(=虚)
•濁陰や邪気が上に上がる(=実)
•気血が滞る(=瘀)
などにより頭痛が生じます。
⸻
🌬️ 頭痛の主なタイプと原因
以下に代表的な6タイプを挙げます。
⸻
① 肝陽上亢(かんようじょうこう)による頭痛
原因:ストレス・怒り・緊張・イライラなどで肝気が上にのぼりすぎる
特徴:
•頭の側面やこめかみがズキズキ
•顔が赤く、目が充血
•めまい・耳鳴り・怒りっぽい
機序:
「肝気鬱結 → 火化して肝陽上亢 → 清陽の上昇が乱れ、頭痛」
推拿・経絡的には:
太陽・少陽経(特に胆経)に沿って痛みが出やすく、百会〜太陽・風池を中心に施術。
⸻
② 気虚頭痛(ききょずつう)
原因:疲労・過労・思いすぎ・飲食不摂生などで脾気が不足
特徴:
•ぼんやり重だるい頭痛
•動くと悪化、休むと軽くなる
•倦怠感・息切れ・声が弱い
機序:
「脾気虚弱 → 清陽の気が頭に昇らない → 頭の養い不足」
推拿・経絡的には:
督脈・太陽経を中心に補法。百会・気海・足三里などを補って気を上げる。
⸻
③ 血虚頭痛(けっきょずつう)
原因:出血・月経過多・慢性疾患などで血が足りない
特徴:
•鈍く長引く頭痛
•めまい・目のかすみ・顔色が蒼白
•寝不足や生理で悪化
機序:
「血が不足 → 頭への滋養が足りない → 虚性の頭痛」
推拿・経絡的には:
百会・太衝・血海などを使い、肝血・脾血を補う。
⸻
④ 痰濁頭痛(たんだくずつう)
原因:湿気の多い環境・肥満・消化機能低下などで痰が生じる
特徴:
•頭が重く締めつけられるよう
•胸がつかえる・吐き気
•雨の日に悪化
機序:
「脾失健運 → 痰濁内生 → 痰濁が上擾して清陽の昇降阻害」
推拿・経絡的には:
中脘・風池・豊隆などを通して痰を取り除き、脾の運化を高める。
⸻
⑤ 瘀血頭痛(おけつずつう)
原因:外傷・慢性病・ストレスなどで血行が滞る
特徴:
•刺すような痛み・一定の部位に固定
•夜間に悪化
•顔がくすむ
機序:
「気滞血瘀 → 絡脈閉塞 → 通じざれば則ち痛む」
推拿・経絡的には:
頭部の瘀血を流すように軽擦法・揉法。太陽・合谷・血海などを用いる。
⸻
⑥ 外感頭痛(がいかんずつう)
原因:風・寒・湿・熱など外邪の侵入
特徴:
•風寒:後頭部の強張り、寒気
•風熱:頭痛と発熱、喉の痛み
•風湿:重だるく、天気に左右される
機序:
「風邪が頭を襲い、経絡の気血を阻む」
推拿・経絡的には:
風池・風府・大椎を中心に邪を散らす。
🌀 まとめ(比較表)
|
タイプ |
性質 |
主な原因 |
痛みの特徴 |
よく使う経穴 |
|
肝陽上亢 |
実 |
ストレス・怒り |
ズキズキ・側頭部 |
太陽・風池・太衝 |
|
気虚 |
虚 |
疲労・思いすぎ |
重い・ぼんやり |
百会・気海・足三里 |
|
血虚 |
虚 |
出血・月経過多 |
鈍い・長引く |
百会・血海・太衝 |
|
痰濁 |
実 |
湿気・飲食不摂 |
重だるい・吐き気 |
中脘・豊隆・風池 |
|
瘀血 |
実 |
外傷・慢性化 |
刺すよう・一定部位 |
太陽・合谷・血海 |
|
外感 |
実 |
風寒・風熱・風湿 |
天候で変化 |
風池・風府・大椎 |
⸻
💡ちなみに
「気が上に上がったままの頭痛」=肝陽上亢・気逆頭痛
「気が足りなくて起こる頭痛」=気虚頭痛
です。
⸻
🌦️ 気候と体調の関係 = 「外邪」と「正気(せいき)」のせめぎ合い
中医学では、
気候の変化(湿・寒・風・熱など)を「六淫(りくいん)」=外邪と呼びます。
健康な人では「正気(せいき)」=体の防衛力がしっかりしているため、天気が多少変わっても影響されません。
しかし、
正気が弱い(=気虚)と、外邪が簡単に体内に入り込みやすくなる
ので、気候の影響を「受けやすい体」になります。
⸻
🌀 気候変化に弱い人に多い3パターン
① 脾気虚+湿困(しつこん)型
典型的な「気象病」タイプ。
湿気・低気圧・梅雨・雨の日にだるく頭痛。
•湿が重く、清陽の気が頭に上がらない
•脾の運化が弱く、体内に湿がたまりやすい
🩺症状:頭が重い・めまい・むくみ・倦怠・下痢気味
☯治法:「健脾化湿」「昇清」
🍵食養:ハトムギ・生姜・陳皮・小豆など(湿をさばく)
⸻
② 気虚+気滞型
天気が悪いと気分が沈み、頭痛や肩こり。
•元気(気)の推動力が弱く、巡りが滞る
•外からの湿・寒でさらに気が動かなくなる
🩺症状:重だるさ・息苦しさ・胸のつかえ・憂鬱感
☯治法:「補気+理気」
🍵食養:陳皮・香附子・ネギ・しそなど(気の巡りを促す)
⸻
③ 肝陽上亢・風邪侵襲型
春や季節の変わり目に出る頭痛・めまいタイプ。
•肝の陽気が上にのぼりやすい季節+風邪が侵入
•気候変化の影響を直接頭部で受ける
🩺症状:こめかみ痛・顔が赤い・イライラ・肩こり
☯治法:「平肝潜陽」「疏風」
🍵食養:菊花・決明子・セロリ・ミントなど(肝火を鎮める)
🌿 まとめると
|
天候に左右されるタイプ |
体質・背景 |
原因の中心 |
対応の方向性 |
|
湿気・低気圧で悪化 |
脾気虚・湿困 |
清陽が昇らない |
健脾化湿・昇清 |
|
天気や気圧で気分・体調変動 |
気虚+気滞 |
巡りの低下 |
補気+理気 |
|
季節の変わり目・春先 |
肝陽上亢・風邪侵襲 |
陽気の昇発・風邪 |
平肝潜陽・疏風 |
💡つまり
「気虚」は“根(体質)”であり、
「外邪(気候)」は“誘因(きっかけ)”です。
気虚がベースにあることで、天候という外的要因に反応しやすくなる。
これがいわゆる「気象病」「天気痛」の中医学的な全体像です。
1.出典
本記事は『中医基礎理論』(たにぐち書店)および古典理論に基づき、推拿臨床の視点からわかりやすくまとめたものです。
2.医学的免責
※本記事の内容は中医学の理論的解釈に基づく一般的な情報であり、医師の診断や治療に代わるものではありません。体調不良が続く場合は医療機関にご相談ください。
3.施術や体質改善への応用例
推拿ではこのような理論をもとに、頭痛や天候不調に対して経絡の通りを整え、体のバランスを回復させていきます。
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