【推拿(すいな)】はある意味『哲学』だ、
と言えると思います。

「生き方」に通じるからです、
だから私は、
推拿を生涯の仕事として、
引き寄せたのだと感じています。

たとえば、
重要なのが、
施術者自らが身体を緊張させていてはいけない、
ということです。

自分が緊張していて、
相手を緩和させることが出来る筈はありません。

この身体の緊張をとる、
ということが、
ぼくの人生のテーマでもありました。

身体をリラックスさせるには、
心の状態、
蓄積された思考の修正から行わなければなりませんでした。

私は、
中学2年生の時に、
初めて受けた精神的な「いじめ」をきっかけに、
対人緊張、対人恐怖、鬱、
というような精神状態から抜けられずにいました。

私に変革をもたらしてくれたのは、
『推拿』であり『気功』との出逢いでした。

精神=心
だとすると、
「精神状態」=「心の状態」は、
健康な状態を取り戻すことが出来る、
と言えます。

何故なら、
『心は傷つかない』
と言うのが真理だからです。

「心が傷ついている状態」=「精神的な病に陥っている状態」は、
『思考回路がもつれている状態』
と言えます。

そしてこの、
「思考回路のもつれ」を、
ほどいてくれるのが、
『正しい思考法』であり、
『概念』であり『哲学』である。

これらを学んで、
知るだけではなく、
現実の場で実践してみて、
実感して初めて身につくのです。

これらの話は、
また別の機会にお伝えすることにして、
この「考え方」=『思考』の細かな蓄積が、
手に表れて患者さんに伝わるのです。

「剛中有柔 柔中有剛」
と言う言葉があるそうですが、
「強い(剛)中に柔らかさが有り、柔らかさの中に強さ(剛)が有る」
と言う意味です。

この言葉、
概念を知ったら、
それを実践し、体感し、肚の底に落とす。

実践しないと、
本当のことは理解できない。

なので、
施術の上においても、
実生活においても、
その活用の仕方は通じているのです。

たとえば、
身体の大きないかにも強面で攻撃的な男性に会った時に、
こちらも強硬で戦闘的な態度をとったら、
たちまち対立して喧嘩になってしまうでしょう。

極端に言うと、
そのような男性に対し、
物腰が柔らかで優しい心を持った美しくか弱い女性が対応したらどうでしょうか?
男性は態度を軟化させてなんならデレデレなフニャ男になるかも知れません。

強い男性とか弱い女性、
というのはかなり極端に表していますが、
もちろん男性同士でも、
硬いものには柔らかく接したほうが、
結局相手の中へ入れるというものです。

推拿も同じです。

いかにも強張って、
緊張してガチガチに固まってしまっている肩や腰を、
グイグイ、ガンガン強い力で押しても、
表層のある程度の部分は柔らかくなるかもしれませんが、
深層の症状の元には届かないので、
充分な変化を起こせないのです。

親指や肩や肘・手首に負担をかける体重押しや、
自分の身体を疲弊させる力任せのグイグイ揉みは、
接触部分に余裕、ゆとりがないので、
それ以上深く浸透することが出来ないと思います。

おそらくここには、
「剛中有柔 柔中有剛」
の意識はないでしょう。

先日、
お腹の施術をしていたら、
患者さんから、
「すごい、手が私のお腹の一部になってる…」

相手に同化を感じさせるほどの施術、
すごい褒め言葉だと思いました。

これは、
先人達が残し与えてくれた『哲学』を、
日々の中で実践して得た宝だと思います。 天と地と人 すいなの信長正義